楽な姿勢でお読みください

忘れっぽいので、未来の自分への申し送り事項。主に読書感想文を書きます。

圏外編集者 都築響一

 

圏外編集者

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再読した本の感想。(奥付見たらもう2年前の本なのね...!)

編集者の都築響一さんの仕事論。編集者として何を大切にしていること、今の編集シーンに関して思うことを「語った」本。

読みながら、身に沁みる部分がたくさん。編集に関する本だが、仕事全体に関して言えることが多い。

編集を学ぶヒントがどこかにあるとしたら、それは好きな本を見つけてじっくり読み込むことしかないと思う。

読みながら「熱量」というキーワードが思い浮かんだ。好きな本、好きな音楽、好きなファッション。自分が好きなものをとことん追求すること。誰かの評価ではなく、自分の中の内なる声に耳を傾けること。(食べログの普及で誰かの評価を基準にしちゃう功罪も)

自分がやっていることに熱量はあるだろうか?ということを思い返した一冊。

熱量がある部分に人は動くんだから。

ポストイット貼った箇所】

・すんなり計画が立てられるということは、だれかが先に調べた情報が先にあるということ。その時点で、その企画は新しくない。検索でたくさんヒットするのは負けになっちゃう。

 

・海外のブックフェア。経験から言って、本当にすごい本を作っているのは地味で無口で、一人でコツコツ作業するのが好き、という人ばかりだった。口で説明するんじゃなくて、何かを作ってみんなに見せるのが、彼らのコミュニケーションだった。

 

・「通る企画」というものがどういうのかというと、みんなにわかる企画。みんなに分からせるためには、みんなにわかるプレゼンをしなくてはいけない。それは要するに「もうだれかがやったネタ」ということだから、二番煎じ以上のものになりっこない。

・美術でも文学でも音楽でも、他人の評価ではなくて、自分でドアを開けて見ないと、経験は積み上げられない。そうやって成功と失敗を繰り返しているうちに、いつの間にか、自分で「いい」と思ったものは、誰がなんと言おうと、いいと言い切れる日がやってくる。

 

・編集を学ぶヒントがどこかにあるとしたら、それは好きな本を見つけてじっくり読み込むことしかないと思う。

 

・100回読み返せる本を何冊か持つこと。100回見ても感動する、そういう映画に出会って、繰り返し見続けて、自分のものにする方がはるかに大切なはず。

 

・かっこいい部屋の写真が雑誌に出てて、自分の部屋を見回してみると「あ〜あ」ってなる。そんなかっこいい部屋に暮らすほどの収入はない。ならば、ということでワンポイント贅沢と言って、高価なソファを買ったりする。そうすると家具屋は売れ行きが上がるから、その雑誌にまた広告を出す。そしたら雑誌も儲かって、また同じような記事を作る。こういうインテリア特集に出てる人って。少数派。多数派の僕らは、どうしてそういう少数派を目指さなくちゃならないのであろう。どうして、他の人より秀でてなくちゃいけないのだろうか。

 

・本当に新しい何かに出会ったとき、人はすぐさまそれを美しいとか、優れているとか評価出来はしない。最高なのか最低なのか判断できないけれど、心の内側を逆なでされたような、いてもたってもいられない気持ちにさせられる、何か。

 

・検索という麻薬。みんながやっていることを記事にするとは、どういうことかというと、「取材が楽」ということ。皮肉ではなく、本当に。探さなくとも見つからない、ということではなく、どこにでもあること。そういう点で、「まとめサイト」からは熱量が一切感じられない。

 

・音楽に例えると、業界が聞かせたい、買わせたい音楽と、自分たちが欲しい音楽が決定的にずれてしまっている。音楽に限らず、美術でも建築でもファッションでも全く同じ。現場では流行がない時代。いろんな時代感覚の、いろんなレベルの服を合わせて、自分なりにリミックスして着るのがオシャレの基本的な感覚。