楽な姿勢でお読みください

忘れっぽいので、未来の自分への申し送り事項。主に読書感想文を書きます。

サイコロを振り続けよう 「人生は、運よりも実力よりも『勘違いさせる力』で決まっている」ふろむだ

 

 分裂勘違い君劇場というブログの方の著書。一言でいうと、「人生をうまく進めるために、『思考の錯覚』を使おう」という本でした。

ハロー効果、少数の法則、感情ヒューリスティックなど、思考の錯覚の種類はいくつか存在しています。これらをどう普段の生活に生かすか?に役立つ本です。

「世の中、実力主義でしょ?」と思っている人にお勧め。この本では、「世の中、実力主義になんてなってない」という身もふたもない現実を踏まえた上での、思考の錯覚を使った、「成功確率をあげるための方法」が書いてあります。

面白かった点をいくつか紹介していきます。

才能があるかを考えるのをやめる

「ハロー効果」という、「何か1点が優れていると、後光がさして、何もかもが優れて見えちゃうような錯覚」があります。

このハロー効果を使い、成功確率をあげるための方法とは。

当たる確率が高い時を狙って投資すること。

色んなことに小さくかける。ハロー効果が得られそうな仕事や役割に手をあげ、色々チャレンジしてみること。

具体的な数字の効果が得られることはハロー効果を瞬時に生じさせる。

わらしべ長者方式で、小さなハロー効果を大きなハロー効果にしていくこと。

 

面白かったのは、「自分には、本当に才能があるのか?」と悩むことに時間を使うことをやめる、ということです。

成功の要因としては、才能よりも運や思考の錯覚の方が大きいので、「自分には、本当に才能があるのか?」と不安がって消耗するのは投資効果が悪すぎる。自分に才能があるかないか? を悩む時間があったら、その時間を、悩んでる暇があったら、一回でも多くサイコロを振ること。

才能に結びつけちゃうことは、結局は自分への言い訳なんですね。

  

思い出しやすさを考える

人間の直感は、「すぐに思い浮かぶ情報」を過大評価する傾向がある。

もし、デザイナーとしてやっていこうと人なら、しばらく連絡を取っていない友人と連絡を取ってみるのが良い、と著者。そうすれば、例えばその友人の会社で「どのデザイナーを選ぶか?」と言う判断に置いて、選ばれる確率は飛躍的に高くなる。自分が思っているよりも、はるかに高くなる。

重要だなと思ったのが、「自分の何を、相手が思い浮かびやすくするか」と言うこと。

自分の優秀さをアピールするより、自分がどう言うポジションなら力を発揮できるかの、具体的なイメージを相手にインプットする方がいい。

自分の持っているスキルを細分化して掛け合わせることですね。

PVとCVRのバランスを考える

自分という人材のマーケティングは、ウエブマーケティングと一緒。

「時間」という資源を、PV向上とCVR向上のどちらにどれだけ投資するか、という投資戦略を誤らないことが大切。

「コツコツ実力をつけよう」と頑張るのではなく、ある程度の実力が身についたら、まだCVRが低くても、じゃんじゃんPVを増やす戦略の方が、結局効率がいい。

多くの人が、「成功は、運よりも実力によって決まる」という思考の錯覚を持っている。

成功の主要な要因が運であるということは、「サイコロを振る回数を増やさないことには、成功確率はなかなか上がらない」ということを意味する。PVの絶対数を増やさなければ、なかなかいい環境には有り付けない。

 

「一貫して偏ったストーリー」を主張せよ。自分の人生と判断を二重化

大きな錯覚資産を手に入れたいなら、「一貫して偏ったストーリー」を語らなければならない。

バランスの取れた正しい主張などに、人は魅力を感じない。

それでは、人は動かせない。

「シンプルで分かりやすいこと」を、それが真実であるかのように言い切ってしまう。

本当は断定できないことを、断定してしまうこと。

組織のトップに立っている人を思い浮かべると、思考は偏っているけど、「言い切る」能力が強いんだな〜と。

ここで重要なのは、何かを主張するときは「一貫して偏ったストーリー」を語ることで、自分の人生の選択をするときは、徹底的に「正しい判断」をすること。判断のシステムを二重化させる。

二重化というのはは難しいなぁと思った部分だけど、「一つの現象に対して別の角度から考える」ことのトレーニングでできるようになるそう。

 

この本に紹介されている、「思考の錯覚」のまとめ

最後に、この本で紹介された、「思考の錯覚」について紹介します。

・【ハロー効果】

一つのプラスの属性値に引っ張られて、他の属性値も底上げされてしまう現象。マイナスのハロー効果もある点に注意。

・【少数の法則】

統計的には、ぜんぜん有意と言えないようなごく少数のサンプル数のデータから、そのデータが示す法則性が真実だと思い込んでしまうこと。

・【運を実力だと錯覚する】

PV向上とCVR向上への時間配分を誤らせるなど、極めて有害性の高い認知バイアスなので、特に注意が必要。

・【後知恵バイアス】

物事が起きてから、自分はそれが起きることを予測していたと考える傾向。

・【利用可能性ヒューリスティック

脳がすぐに利用できる情報だけを使って答えを出すこと。もっと分かりやすく言うと、「思い浮かびやすい」情報だけを使って、答えをだす認知バイアスのこと。「すぐに思い浮かばない」情報は、無視して判断を行ってしまう。判断に必要な情報が欠落していることに気がつかないと言う点が、非常に危険。

・【デフォルト値バイアス】

取りうる選択肢の中で、過剰にデフォルト値を選んでしまう傾向。デフォルト値を選ぶのが損な場合にまで、デフォルト値を選ぶのが損な場合にまで、デフォルト値を選んでしまうので、これも、非常に有害。

・【認知的不協和の理論】

自分の中で矛盾や葛藤(認知的不協和)がある時、無意識のうちに、その矛盾を解消しようとする。現実を変えることで認知的不協和を変えられる場合は、健全な結果になる。しかし、それが困難な場合、無意識は、認識や記憶の書き換えによって矛盾を解消する。この場合、不健康な状態に陥ることがあるので、注意が必要。

・【感情ヒューリスティック

好きなものはメリットだらけでリスクがほとんどなく、嫌いなものにはメリットはほとんどなくリスクだらけと思い込む認知バイアス

・【置き換え】

答えるのが難しい質問を突きつけられると、無意識のうちにそれを簡単な質問に置き換え、簡単な質問の答えを、元の難しい質問の答えだと思い込む認知バイアス

・【一貫して偏ったストーリーを真実だと思い込む】

全ての情報を与えられるより、一貫して偏った情報だけを当てられた方が、魅力的で説得力があり正しいと感じる認知バイアス

これらの認知バイアスは、次の脳の過剰性が引き起こしています。

・【一貫性】過剰に一貫性を求める

・【原因】過剰に原因を求める

・【結論】過剰に結論を急ぐ

感想 

自分自身を振り返ってみると、実は錯覚資産を使っていたのでは?と思い当たる場面がいくつかありました。それは、とある仕事で数値実績を出したら、それを見てくれた別の部署の方が引っ張ってくれたことです。別の部署の仕事は、もともとやりたい仕事だったので大変嬉しかった。数値実績を出した仕事って、「PV」をあげることをやっていたんだなぁと。才能があるかどうかは考えず、とにかくサイコロを振って、当たればいいなという感覚でした。そして、実績をあげることで「思い出しやすさ」も増えていたのかな、と今になっては思います。

これから何かに悩むことがあったら、才能があるかどうかは考えず、とにかくサイコロを振り、成功確率をあげる!ということを考えたいものです。