楽な姿勢でお読みください

忘れっぽいので、未来の自分への申し送り事項。主に読書感想文を書きます。

お金を考えることで世の中の現象を見る「お金は寝かして増やしなさい」水瀬ケンイチ

 

お金は寝かせて増やしなさい

お金は寝かせて増やしなさい

 

 

お金の勉強。

投資会社ではなくいち投資家さんが書いた本ということで、特定の商品を勧めることはないだろうなと思い手にとりました。

インデックス投資を始めようと思っているかたにお勧め。投資を始めるためのハウツーと、さらに大切な、始めた後に値動きで一気一憂しないためのコツが参考になります。

 

インデックス投資とは、各種指数(インデックス)に連動する運用成果を目指す投資信託に投資する方法のことです。

インデックス投資で一番大切なことは、「自分のリスク許容度を知ること」と著者。

リスク許容度とは、投資家の許容できるリスクの範囲のことで、資産運用で発生する損失を1年間でどの程度受け入れられるのかの度合い。

言い換えれば、「最悪の事態を想定する」こと。

自分のリスク許容度を知る方法としては、

1)年間の貯蓄可能金額の範囲内

2)公的年金を運用するGPIFが追っているリスクの範囲内(25%程度)

3)夜ぐっすり眠れるかどうか

の3つがあります。

さらに、インデックス投資は色んな学びに繋がると思いながら読み進めました。

1つめは、統計学

長期投資なら「平均回帰性」の力の後押しを受けることができるということ。短期的にはランダムに発生しているように見える事象であっても、長期的には平均値に収束していく性質のこと。

投資において、「資本主義経済の拡大再生産」のパワーという捉えどころのないものであっても、長期で投資し続ければ、平均回帰性の力が働いて、あるべき平均値(期待リターン)に収束していき、投資のプラスリターンとして取り出せる

世界最大のインデックスファンド運用会社である米国バンガード社は、「投資の世界で最も一貫性のある現象が、平均回帰性である」と主張。

と著者。インデックス投資の拠り所は、経済学であり統計学でもあるというのが大変面白いところでした。

さらに、行動経済学も拠り所になっています。

「敗者のゲーム」というインデックス投資のバイブルと呼ばれている本によると、

健全な長期投資においては、直感こそが敵であり、理性こそが友である

この言葉は、行動経済学という分野の研究でも裏付けられています。プロスペクト理論に夜と、人間は、利益より損失に強く反応する心の歪みがあり、特にプラスマイナスゼロ近辺でその傾向が顕著に出ることがわかっています。

人の営みの集積である資本主義経済を元にしているので、

多岐の学問にわたるんだなぁと。

 

他に大事だと思ったポイントをさらりと触れると

複利の力大事。アインシュタイン複利の概念こそ「人類最大の数学的発明」と言っていた。

長年コツコツ続けるってどんなジャンルにも言えますね。

・金融機関と投資家は利益相反関係にある。たとえば投資信託の基準価額が値下がりして損をするのは投資家だけで、運用会社は損をしない。価格変動のリスクは投資家が全て負う。その代わり、基準価額が値上がりした場合は、利益はほぼ投資家のものになる

・付随して、「誰(何)がトクをして誰(何)が損をするのか?」の視点。小学校で習ったことに例えると、円高だと海外旅行がトクなど。

インデックス投資を通じて世の中の色んな現象を見る視点が得られそう。きっかけになる一冊でした。1時間ぐらいでさらりと読めます。