内なる言葉の解像度をあげる「『言葉にできる』は武器になる。」梅田悟司
以前より文章を書く機会が増えてきたため、勉強しようと何冊か文章術系の本を購入。その中の一冊です。
電通のコピーライター梅田悟司さんが書かれた本です。
「言葉」の作り方、つまり「思考」にフォーカスしています。
梅田さんは、「言葉は思考の上澄みに過ぎない」といいます。言葉には「外に向かう言葉」と「内なる言葉」の2つがあり、「内なる言葉」を育てることが必要だと。
それを、「内なる言葉の解像度をあげる」といいます。
「内なる言葉」を育てることはなぜ大切か?
物事を考えるという作業はどんな状況でも行っています。内なる言葉に意識を向けることができるようになれば、扱う言葉の量が増加するから。
さらに、内なる言葉に意識を向けることで、「なんとなく考えている」「考えたつもりになっている」という状況から脱することができるようになるからです。
「内なる言葉」を育てるにはどうすればいいのか?
全ては「書き出す」ことから。
面白かったのは、「人は考えているようで思い出している」ということ。
頭の中を記憶域(ハードディスク)と思考域(CPU)に分けて考えます。
人は考えている時、自分の記憶と向き合いながら考えてしまっている。つまり、考えが全然進んでいない、という状態は、思考域を使っていると思っていても、実は記憶域の中を回遊してしまっている状態であると言えます。
「記憶を回遊」している状態と聞いて、ハッとなったことがあります。「嫌なことを思い出して、再度嫌な気分になる」ということを惰性のように行ってしまっているのですが、これって単に「記憶域の中を回遊」している行為そのもの。いつでも同じところをぐるぐると考えていて、何も前に進んでいない行為と言えるんですね。恐ろしい...。
この「嫌なことを思い出す」話は置いておいて、記憶域の回遊から脱するためにどうすればいいのか。
「内なる言葉」を育てる7つの具体的ステップ
アウトプット→拡散→化学反応をさせるために、7つの手順があります。
1.頭にあることを書き出す(アウトプット)
2.「T字型思考法」で考えを進める(連想と深化)
「なぜ?」「それで?」「本当に?」で考え方を深めます。
3.同じ仲間を分類する(グルーピング)
4.足りない箇所に気づき、埋める(視点の拡張)
5.時間をおいて、きちんと寝かせる(客観性の確保)
6.真逆を考える(逆転の発想)
7.違う人の視点から考える(複眼思考)
これらを、A4の紙に書き出して行きます。
まとめ
この本では、文章を書くテクニック以前の、自分の意見を生み出すことの大切さ=「内なる言葉を育てることの大切さ」が書かれています。一朝一夕でできることではありませんが、習慣づけられたら武器になるなと思いました。
コピーライターさんが書いただけあり、「内なる言葉」や「言葉の解像度をあげる」など、言葉がどれも的確です。自分の中のぼんやりした部分に言葉を与えられた気持ち良さを感じられる本でした。