楽な姿勢でお読みください

忘れっぽいので、未来の自分への申し送り事項。主に読書感想文を書きます。

困難な結婚 内田樹

 

困難な結婚

困難な結婚

 

 

「婚約者の部屋に行ったときにこの本が本棚にあったら戸惑うだろうな〜」ってタイトルの本・・・!

テーマは結婚だけど仕事や生き方の話につながっていて面白かった。

他者に対する好奇心は、自分に対する好奇心に相関する。これは指摘する人はあまりいないけれど、とても大切なこと。自分の中にどんな「未知の資質」が眠っているか、「未開発の資源」が埋蔵されているのか、それに対して真剣な好奇心を抱いている人は、周りの人に「飽きたり」しない

印象に残った一節。うんうん、と頷きながら読んだ。

「なんだかな〜」と思うときって自分に原因があるんだけど、外部にその要因を探すことがある。それと「どうせ私なんて」って卑下することも擦り切れるほど。まずは自分の好奇心に対して真摯に向き合おうと。自分を一番大切にできる人は自分だけなのだから。

ポストイット貼った箇所】

・自分が今経験している「つらさ」の意味が「わからない人」には二つタイプがあります。一つは「それくらいの辛さは成長過程の自然」ということがわからなくて、せっかくの修業の場を立ち去ってしまう人。これは、たくさんいます。でも、「つらさ」の意味がわからない人にはもう一種類あります。それは、「ここは生きる力が衰微して行くだけの職場だから、一刻も早く逃げ出した方がいい」という生物としての直感を信じずに、意地になって仕事をやめない人です。これも同じくらいたくさんいます。

 

・仕事の90%くらいは他者とのコミュニケーションです。適切なメッセージのやり取りをすることを「仕事をする」というのです。コミュニケーションが適切にできない人に仕事がテキパキこなせるはずがありません。

 

・生産性を上げることと、雇用環境を改善することは両立しません。雇用環境の改善というのは、雇用を創出することによってしか達成できません。

 

・結婚の意味や価値を結婚する前に開示せよと要求されても、本当に大切なことは誰にも告げることはできません。自分で発見するしかないんです。

 

・結婚できない多くの人たちが挙げる第二の理由は「結婚するとどんないいことがあるか、わからないから」ではないか。でもその通りなんです。結婚したらどんないいことがあるかなんて、結婚する前にはわかりません。結婚して初めて人は大人になる。大人になって初めて、結婚してどういう「いいこと」があったのか、事後的、回顧的にわかる。そういう順序が逆転した形になっている。

 

・他者というのはとっても遠いところにいるんです。声も届かないし、手も届かない。その「遠いところにいる人」に触れることができる。そのひとの声が聞くことができる。その人を抱きしめることができる。それだけで見事な達成。ボーナスのようなもの。

 

・他者との共同生活を営む上で最も大切なことは「機嫌がいいこと」。イライラして絶望的な気分になることでパフォーマンスが上がることは絶対にない。

 

・現代人の性生活って、ほとんどが脳内妄想に依存しているような気がします。それをメディアが煽っている。当然だと思います。「セックス・マーケット」って、たぶん何十兆円規模の巨大な市場だからです。そこに日本の経済が相当に依存している。

 

・みんな自分の経済的実力の「ちょっと上」を演じてしまうんです。そこが落とし穴。というのは、自分たちの欲望を最も激しく駆動するのは、ごく身近なひとだから。自家用ジェット機に乗っている超富裕層の人なんか全然羨ましくない。そうじゃなくて、欲望を激しくかき立てるのは、いつも行く蕎麦屋で「たぬきそば」を食べているときに「天ぷらそばにお銚子つけて」ということを気軽に言える人。

 

・「自分はどうすれば機嫌が良くなるのか?」を考える。それを実現するようにコツコツ努力して、「心無い一言」で「コップから水が溢れる」ような危険水域に自分を持っていかないこと。

 

・自分自身の人生が楽しいと、倦怠期は起きても、それほど致命的なものにはなりません。「倦怠している」人たちというのは、ある種の自己倦怠を病んでいるから。倦怠というのは、申し訳ないけれど、自分で自分の人生に飽きている人間が感じること。自分で自分の人生に飽きているのだけれど、それを認めてしまうと「後が無い」ので、倦怠の原因を外部化して、「誰かのせいで人生に飽きている」というストーリーを作って、それにすがりついている。

 

・他者に対する好奇心は、自分に対する好奇心に相関する。これは指摘する人はあまりいないけれど、とても大切なこと。自分の中にどんな「未知の資質」が眠っているか、「未開発の資源」が埋蔵されているのか、それに対して真剣な好奇心を抱いている人は、周りの人に「飽きたり」しない

 

・結婚とは自分が「落ち目」のときに身銭を切って支えてくれる人を手元に確保するための制度。こちらが「助けて〜」という手も足も出ない無防備状態のときに安全保障の発動が初めて要請される。だから、その「結婚契約の履行を迫るだけの社会的実力」がなくなっている状態のときに発動しないと困る。